「子どもはたくましい」サッカー人生初のセレクションから学んだことと、母の後悔
小学3年生になって突然サッカーに取り憑かれた息子から、「セレクションを受けたい」と言われました。そのセレクションに合格したら憧れのスペインで試合ができる、その目標に突き動かされ、私たち親子は沖縄から横浜へと向かいました。

あのときの沖縄と神奈川の気温差は約20度。
そんな極寒の中で、ボールを蹴るどころか厚着をしたこともなかったので、まずはその環境に慣れさせるために2日前に神奈川入りして、事前にお願いしていた地元のクラブチームや少年団チームの練習に参加させてもらいました(知らない場所、初めましての仲間たちの前でも自分らしくいられる練習も)。

ここまでケガさせなかった、流行中の感染症からも守った、やれることはすべてやりました。
本当によく頑張ったぞ息子と私! ついに明日だ!
すべて、順調でした。
なのに、最後の最後でまさかの牡蠣、、、、。

夕食会での後悔
親族との夕食会での出来事でした。
息子が牡蠣を勧められていることはわかっていたのに、止めなかった。
熱々のグラタンだし生ではないし、そもそもこの子は甲殻類が苦手で、普段から食べないから大丈夫って思い込んでしまった私の油断でした。
その夜中から嘔吐と下痢が始まりました。
もう、ただ頭が真っ白になって何も考えられませんでした。
息子に掛ける言葉も見つからず。翌日、セレクション2時間前になっても回復しませんでした。
何度も辞退しようと話したけれど、「それだけは嫌だ」と言われ、一睡もできないまま会場へ。

そして始まったセレクションでは…
立つのもやっとの状態でセレクションが始まり、ふらふらどころか白目状態でした。
あまりにも動けないと思ったのか、途中から自らキーパーをすると言い出し、ゴールに寄りかかるようにして立っていた息子。
普段は「俺が俺が」のストライカーです。
何もできない息子の姿を初めて見た瞬間、私の中で何かが崩れました。

セレクションが終わってからも、私はまともに眠れなくなり、牡蠣の写真でさえ見られなくなり、何日経っても涙が止まらず、、
『また次がある! これだけじゃない!』と、何度自分に言い聞かせても、
『止めなかった私が息子のチャンスを奪ってしまった』と、振り出しに戻って落胆してしまう。
母である私は、どうしたって自分を責めて苦しんでしまうのです。

子どもはたくましい。失敗から学んだこと
そんなある日、まだ落ち込んでいる私に9歳の息子が言いました。
「俺はそんなに弱くない、セレクションとか関係ない! てか、辛いのは俺! 俺! お母さんじゃない、俺な!」
と突っ込まれて、思わず笑ってしまいました。
この瞬間、あの出来事は失敗から宝物に変わりました。
息子の心の強さも思い出しました。
この子は強い、私はそれを忘れていただけ。
親が心配で立ち止まっている間に、子どもたちはもう前を向いています。

この辛い経験があったからこそ、今では試合や大切な日の前の食事について話し合うようになりました。
食事への意識が変わり、母から離れた遠征でも、自分で考え選んで食べるようになったようです。
そして、暫くしてから息子に聞いてみました。
『でもさ、どうして普段食べないのにあのときは食べたの?』
「だって、“出されたものは一口でいいから食べなさい”ってお母さんが言ってるじゃん」
――言ってる。
あぁぁぁー、こーいうときに私の言うことを聞いてしまうのか、、、
お母さんが発する言葉の重みも知りました。
それから、初めて食べるものは必ず確認する約束もできました。
あの出来事以降、大嫌いになってしまった牡蠣ですが、見るのも嫌で鮮魚コーナーも避けるほど無理だったのに、今では息子の隣で生牡蠣をぺろり。
「俺があんな目にあったのによく食べれるな!」
と突っ込まれても、母は笑って食べちゃいます。
笑えたら、もう大丈夫。

セレクションの結果がすべてに思えた時期もありました。
けれど、今、笑って話せる経験こそが、私たち親子の宝物であり学びになりました。
子どもは私たちが思っている以上にずっとたくましい。
だから、信じよう。がんばれーって。
また、応援スイッチが戻ってきてくれました。
すべての経験は財産になると信じて、母は今日も奮闘中!