「次、何したらいい?」と聞く子どもに。サッカーを通して育てたい「自分で考える力」
今の子どもたちを取り巻く環境は、私たち親世代が子どもの頃とは大きく変わっています。
SNSなどの普及によって、たくさんの情報が次々と自分のもとへ届く時代になりました。小学生でも「情報を受け取ること」にはとても慣れています。
一方で、「自分から考える」「自分から生み出す」「自分から発信する」。そんな機会は、以前より少なくなっているのではないかと感じます。
実際に子どもたちと関わっていると、「次、何をしたらいいですか?」「これはどこに持っていけばいいですか?」と、大人から指示されるまで動けない場面に出会うことがあります。
もちろん、聞くことが悪いわけではありません。でも、その前に一度「自分はどうしたらいいと思う?」と考える習慣をつけることは、とても大切だと思っています。
「楽しかった」の、その先を聞いてみる
子どもに「今日の練習どうだった?」と聞いたとき、
「楽しかった」
「普通」
「別に」
「わかんない」
そんな答えが返ってきた経験はありませんか?
どれも間違った答えではありません。でも、そこで会話が終わってしまえば、その先を考える機会もなくなってしまいます。
「何が楽しかった?」
「そのとき、どんなことを考えていた?」
「次はどうしてみたい?」
大人が少し問いを重ねることで、子どもは自分の中にある感覚や考えを探し始めます。
自分の考えを具体的な言葉にする力は、何もしなくても自然に身につくものではないと私は思っています。だからこそ、保護者や監督、コーチなど、周りの大人が問いかけるきっかけをつくることも大切です。

「考える力」の前にある「観察する力」
サッカーは、試合中にプレーを止めて、その都度監督のところへ指示を聞きに行くことはできません。
ピッチの中では、自分たちで状況を見て、判断して、行動することが求められます。
そして私は、「考える力」の手前には「観察する力」があると思っています。
味方は今どこを見ているのか。
自分がどこへ動けばチームメイトが助かるのか。
次にどんなプレーをすれば、ゴールにつながるのか。
相手の表情や目線、動き、周囲の状況を観察する。そこから「じゃあ、自分はどうする?」と考え、行動する。これはサッカーにおいて、とても大切な力です。
そして、この観察力はピッチの中だけで育てるものではありません。
たとえば日常生活の中で困っている人を見かけたとき、大人が「あの人、○○してほしそうだね」「自分たちにできることがあるかもしれないね」と、感じたことや考えたことをあえて言葉にしてみる。
そんな大人の姿を見ながら、子どもたちは「よく見ること」「相手の立場を想像すること」「考えたことを行動につなげること」を少しずつ学んでいくのだと思います。

大人に必要なのは「答える力」より「待つ力」
試合が終わったあと、
「なんであそこでパスしたの?」
「もっとシュートを打てばよかったじゃん」
「コーチにこう言われていたでしょ?」
つい大人が先に答えを伝えたくなることもあると思います。
でも、子どもの考える力を育てたいのであれば、大人がすぐに答えを出さず、本人が言葉にするまで少し待ってあげることも必要です。
すぐに答えが出なくてもいい。うまく言葉にできなくてもいい。そして、その考えが大人から見て正解ではなくてもいい。
まずは「自分で考えた」ということを受け止める。
何を言っても大丈夫だと思える心理的安全性のある環境があるからこそ、子どもは自分の考えを言葉にできるようになっていきます。

サッカーを離れたあとにも残る力
サッカーをしている子どもたち全員が、プロになるわけではありません。いつかサッカーをやめたり、離れたりする日が来るかもしれません。
だからこそ、大好きなサッカーに一生懸命取り組んでいる今、競技力だけではなく、
観察する。考える。自分の言葉にする。そして、自分で行動する。
そんな力も身につけてほしいと思っています。
それはきっと、サッカーを離れたあとの人生でも、子どもたち自身を支えてくれる力になるはずです。
「スポーツを通して、わが子にどんな大人になってほしいだろう?」
一度そんな視点から考えてみると、私たち大人が今できるサポートも、少し違って見えてくるかもしれません。