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一流と超一流アスリートの違い〜脳科学とNVC(非暴力コミュニケーション)から学ぶ「感情」との付き合い方〜

皆さんこんにちは! 第5回のテーマは「感情(気持ち)」です。

試合中、思い通りにいかずピッチでふてくされたり、味方に怒りをぶつけたりする我が子を見て、「あー、また同じパターンだ」とガッカリしてしまう。そんな経験はありませんか?

これまで、サッカーや家庭でのさまざまな場面を通して、「心とどう向き合うか」という視点からご紹介してきました。今回は、誰にとっても身近な「感情との付き合い方」を取り上げます。

トップアスリートを見ていると、世界で活躍する一流選手であっても、カッとなってラケットを叩きつけるテニス選手、ベンチで物に八つ当たりする野球選手、相手の挑発に乗って退場になるサッカー選手などを目にします。一方、勝利への強い情熱を持ちながらも、感情に振り回されない術を身につけている選手もいます。

彼らは感情をなくしているわけではありません。感情が動くことを受け入れながら、「感情を味方につける術」を身につけているのです。

脳科学から考える「カッとなる」瞬間

人は強い怒りやイライラを感じると、感情が前面に出て、冷静な判断が追いつきにくくなります。そのまま言葉を発したり行動したりすると、あとで後悔することがあります。

そこで意識したいのが、「間」を意図的につくることです。その第一歩は、

「あ、今、僕は怒っている」
「今、イライラしてきた」

と、まずは自分の感情に気づくことです。「怒っている自分」を少し離れたところから見る。これが「間」となり、衝動的な言葉や行動を防ぐブレーキにつながります。

感情にラベルをつける

自分の感情に気づき、それを言葉にする方法は、家庭での会話の中でも練習できます。たとえば、こんなふうに聞いてみます。

「さっき危なそうなタックルされて、審判がファウルを取らなかったとき、どんな気持ちだった?」

「相手に頭に来た」
「審判にムカついた」
「ファウルを取ってくれなくてガッカリした」
「かわせなかった自分に腹が立った」

いろいろな答えがあるでしょう。ここでは「そんなことで怒っちゃダメ」と評価・否定したり、「悔しかったんでしょ?」と親が答えを決めつけたりせず、子ども自身が気持ちの言葉を見つけられるように会話を続けます。

子どもが「なんだよ! って思った」と言ったら、「そっか、なんだよ! って思ったんだね」と、そのまま受け止めます。

このように感情を言葉にすることは「感情ラベリング(Affect Labeling)」と呼ばれます。感情に名前をつけ客観的に捉えることが、感情の高ぶりを落ち着かせる助けになることも研究で示されています。

これを繰り返すことで、やがて試合中にも「あ、今イライラしている」と自分で気づき、冷静さを取り戻すきっかけになります。

「共感」を体験する

次は、NVC(非暴力コミュニケーション)の考え方を使って、もう一歩進めてみましょう。

たとえば子どもが、「前にスペースがあったから、ボールを持っていたBに声をかけたのに、ちらっと見たあとバックパスしたんだよ。Bは慎重すぎてイライラするよ」と言ったとします。

まず、「そっか、イライラしたんだね」と感情を確認し、「ボールをもらって、どうしたかったの?」と聞いてみます。

答えにくそうなら、

「早く攻めたかったのかな?」
「チャレンジしたかったのかな?」

と助け舟を出します。自分が何を大切にしていたから、その感情が生まれたのかを知る。これが「自己共感」です。

次に、「じゃあ、B君はどんな気持ちだったと思う?」と相手側に視点を移します。

「焦っていたのかな?」「失敗するのが不安だったのかな?」と続け、子どもが「失敗が怖くて心配だったのかも」と言ったら、「そっか、心配だったのかもしれないね。じゃあB君は何を大事にしたかったんだろう?」と続けます。そして「確実なこと?」「安全なこと?」と聞き、子どもが「うーん、安全がぴったりな気がする」と言ったとします。

子どもには「挑戦したい」という思いがあり、B君には「安全を大事にしたい」という思いがあったのかもしれません。

どちらが正しいかではなく、同じ出来事でも、人によって感情も大切にしていることもそれぞれ違うと知る。これが他者への共感の入り口です。

まとめ

人間に感情があること自体に、良いも悪いもありません。怒りも悔しさも、不安も、勝ちたいという強い気持ちも、すべて自然なものです。

目指したいのは、感情を閉じ込めることではありません。感情に気づき、言葉にし、その奥にある「自分が大切にしていること」を知る。そして余裕ができたら、相手にも自分とは違う感情があり、大切にしていることがあると想像してみましょう。

一流と超一流を分けるものの一つは、技術や身体能力だけではなく、こうした「自分の感情との付き合い方」にあるのかもしれません。

こうした感情との付き合い方は、サッカーだけでなく、学校や友人関係、そして大人になってからの仕事や家庭にもつながっていきます。

まずは試合の帰り道に、「あのとき、どんな気持ちだった?」と聞くところから、ご家族で始めてみてはいかがでしょうか。

Marshall B. Rosenberg, 1934–2015

NVC(非暴力コミュニケーション)は、私たちに本来備わっている「思いやりをもって人とつながる力」を引き出すコミュニケーションの考え方として、マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化されました。

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