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サッカーから帰ると家でダラダラ……子どもを支える家庭の役割と大人の「心のゆとり」【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。

10月に入り、朝晩は涼しい風を感じる日が増えてきましたね。

季節の変わり目で寒暖差も大きい時期ですので、体調管理には十分気をつけてお過ごしください。

この時期は、小学生の全日本U-12選手権の予選や、中学生の公式戦、高校サッカー選手権にクラブユース選手権など、各カテゴリーで大切な試合が続く熱い季節でもあります。

ピッチに立つ我が子の姿に「ワクワク」と「ドキドキ」が入り混じり、親としても落ち着かない日々をお過ごしではないでしょうか。勝敗のかかる大一番だからこそ、親としても力が入ってしまうのは当然です。ですが、だからこそ保護者の皆さまには、この緊張感も含めて我が子と一緒に「楽しんで」ほしいと願っています。

さて、サッカーに熱中する毎日の中で、最近ご家庭でこんな光景を目にすることはないでしょうか。

朝早くに登校し、放課後はそのまま練習へ向かい、帰宅する頃にはすっかり夜。

親としては「早くごはんを食べさせて、お風呂に入れて、早く寝かせなきゃ」と慌ただしく動いているのに、当の本人はリビングで横になり、ぼーっとテレビを見たりスマートフォンを触ってダラダラしたり……。

「いつまでダラダラしているの! 早く準備しなさい」

「宿題は終わったの? 明日の用意はできたの?」

顔を合わせる時間が短いからこそ、そのだらしない姿に思わずため息が出たり、イライラして小言を言ってしまったり(笑)。我が子の健康や生活リズムを心配するからこそのお気持ちだと思いますし、親であれば誰もが一度は経験する場面ではないでしょうか。

しかし、ここで少し立ち止まって考えてみてほしいのです。

子どもたちが見せる「家でのダラダラした姿」には、じつはとても大切な成長のサインが隠されています。

今回は、小・中学生の過酷な生活実態と心身の成長に目を向けながら、家庭が果たすべき本当の役割、そして大人が持っておきたい「関わり方のゆとり」について整理していきたいと思います。

1. 私たちが思っている以上に、子どもたちは過密な日常を走っている

まず目を向けたいのは、子どもたちが日々置かれている「生活時間」の現実です。

◇小学生の場合

朝から学校で集団生活を送り、夕方に帰宅するとすぐにランドセルをサッカーバッグに持ち替えてグラウンドへ向かいます。練習を終えて帰宅するのが20時や21時を過ぎることも珍しくありません。

小学生にとって必要な睡眠時間は一般的に8〜10時間と言われますが、遅い夕食や入浴、学校の宿題などをこなしていると、あっという間に就寝時間が削られてしまいます。小学生はまだ自分の身体の限界を言葉でうまく表現できないため、大人が見ている以上に疲労は深く蓄積しています。

◇中学生の場合

中学生になると、生活の過密さはさらに増します。

授業時間は長くなり、教科ごとの先生や定期テストのプレッシャーも増えます。放課後は重い荷物を抱えて電車やバスを乗り継ぎ、遠方のグラウンドへ移動。帰宅時間が21時半や22時を過ぎることも日常茶飯事です。

そこから食事や入浴、翌日の学校の準備や勉強をこなすとなると、十分な休養を確保することすら難しい毎日を送っています。

大人から見れば「もっと要領よく動けばいいのに」と思えるかもしれません。しかし、子どもたちは外の世界ですでにエネルギーを使い果たして帰ってきているのです。ソファーに倒れ込んで動かないその姿は、決して怠けているのではなく、一日を懸命に走り抜いた証拠でもあります。

2. 「外の顔」と「家の顔」は違って当たり前。家庭は「安全基地」

生活の忙しさに加えて、子どもたちの「心の緊張感」にも寄り添ってみてください。

大前提として知っておいていただきたいのは、「外で見せる顔と、家庭で見せる顔は違って当たり前である」ということです。

子どもたちは家庭の外で、常に社会のルールや緊張感にさらされています。

学校での友人関係に気を配り、グラウンドに行けば激しいポジション争いや指導者の要求に応えようと、常に気を張ってプレーしています。

そうして一日中、外の世界で戦ってきた子どもが、ようやくたどり着いた場所が「家庭」です。

もし家に帰ってきてからも、「テキパキ動きなさい!」「時間を無駄にしない!」とピッチの上と同じような緊張感を求められ続けたら、子どもは一体どこで息を抜けばよいのでしょうか。

親の前で無防備にダラダラできるということは、家庭がその子にとって「素の自分を出しても大丈夫な、安心できる場所(安全基地)」になっている何よりの証拠です。家庭は評価や指導を受ける場所ではなく、まずは張り詰めた緊張を緩め、消耗したエネルギーを回復させる充電場所であってほしいと思います。

3. ダラダラを力に変える「メリハリ」と、生活習慣の土台

もちろん、「家では際限なくダラダラしていい」というわけではありません。

食事の準備を手伝う、脱いだ服を片付ける、明日の準備や宿題を済ませる――家庭の中で「やらなければならないこと」にきちんと向き合う習慣をつけることも、将来ピッチの内外で自立していくためには欠かせない土台です。

だからこそ大切になるのが、「メリハリ」です。

やるべきことは後回しにせずしっかり終わらせる。そして、休むときは思い切り力を抜いてリラックスする。この切り替えのリズムを身につけるからこそ、ダラダラと過ごす充電の時間が本当の意味で生きてきます。

小学校高学年から中学生にかけては、骨の急激な伸びに感覚が追いつかない「クラムジー」や、思春期特有の心の揺らぎなど、心身が非常にアンバランスになりやすい時期です。

心と身体の成長スピードには大きな個人差があります。だからこそ、大人が子どものスケジュールを詰め込みすぎず、休養や睡眠が取れるよう生活全体のバランスを整えてあげること。そして「やるべきこと」と「息を抜くこと」の切り替えを、温かくサポートしてあげることが大切です。

4. 反省会や嫌味を手放し、大人の「心のゆとり」を持つ

子どものエネルギーを回復させるために、もう一つ見直したいのが、私たち大人の日常の振る舞いや言葉遣いです。

試合後の車内や、リビングの食卓で、こんな会話になってはいないでしょうか。

「なんであそこでパスを出さなかったの?」
「あんな簡単なミスをしたせいで負けたんじゃない?」
「家でダラダラしているから、試合で走れないんじゃないの?」

「もっと上達してほしい」という親心から出た言葉かもしれませんが、こうした“反省会”や嫌味のような小言は、子どものエネルギーを奪うだけで何のプラスにもなりません。

ミスをしたことや思い通りにいかなかった悔しさは、戦っていた本人が一番よくわかっています。そこに親の正論や指摘が重なると、家庭は安心できる場所ではなくなり、子どもの心は外の世界へも閉ざされてしまいます。

親の役割は、ピッチの指導者になることではありません。

起きた出来事のすべて――成功はもちろん、失敗に対しても「あのチャレンジは良かったよ」「最後まで諦めずに走っていたね」と、前向きな意味を付けてあげられる心の余裕を持つことです。

大人の醸し出す落ち着きと温かいゆとりがあってこそ、子どもは失敗を恐れずに次の挑戦へと向かうことができます。

おわりに

子どもたちがサッカーを続ける中で、私たちが本当に願っているのは何でしょうか。

目先の勝ち負けだけではないはずです。

いつか大人になって社会に出たときに、困難な壁にぶつかっても自分で考え、仲間と協力しながら前を向いて立ち上がっていけるたくましさを育むことではないでしょうか。

子どもたちは今、心と身体をアンバランスに揺らしながら、外の世界で一生懸命に自分の足で立とうと戦っています。

小学生のあどけなさが残る背中も、中学生になって少し口数が減った背中も、外でたくさんの緊張を背負って帰ってきています。

だからこそ、夜遅くに帰ってきたお子さんが家でダラダラし始めたら、イライラをグッと飲み込んで、少し深呼吸をしてみてください。

「今日も一日、外の世界でよく頑張ってきたんだな」と、まるごと受け止めてあげること。

小言を言う代わりに、温かいごはんとお風呂を用意して、

「今日もお疲れ様!」

と笑顔で迎えてあげること。

家庭という揺るぎない安心感と、大人の温かいゆとりこそが、子どもたちの心を支え、明日また力強くピッチへ向かうための何よりのエネルギーになるはずです。

焦らず、競わず、お子さんの歩みを温かく見守ってあげてくださいね。

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