「寮完備」だけではわからない! 高校サッカーの寮生活
高校選びが進んでくると、いろんなことが気になりだし、心配になると思います。サッカー部や学校のことだけではなく、なかでも県外進学だからこそ気になってくるのが「寮生活」。
15歳で親元を離れるとなると、親としては心配なことがたくさんあります。
ちゃんと食べられるのかな?
体調を崩したときは誰かが助けてくれる?
洗濯や掃除は?
部屋ではゆっくり休める?
私自身、高校選びを始めるまでは「寮」と聞けば、食事が出て、寮監さんがいて……なんとなくどこも似たようなものだと思っていました。
ところが実際にいくつもの寮を見学してみると、そのイメージは大きく変わりました。
建物も、部屋も、食事も、ルールも、子どもたちの見守り方も本当にそれぞれ。
「寮完備」のたった3文字だけでは、寮ごとの違いはほとんど何もわからないのです。
今回は、実際に見て、聞いて、宿泊体験もしてわかったことを、親目線で書いてみたいと思います。
部屋の人数から共用スペース、設備までさまざま
まず驚いたのが、建物や部屋の違いです。
大きな建物にたくさんの部屋がある寮もあれば、普通の一軒家で生活するタイプもありました。
一軒家でも、寮生とコーチが同じ建物で生活するところもあれば、敷地内に何棟かあり、コーチは別棟に住み、建物の中では子どもたちだけで生活するところも。今回見学したところでは寮監はすべてコーチでしたが、同じ「コーチが寮監」でも見守り方はかなり違いました。
部屋も1人部屋から数人部屋までさまざまです。なかには、ベッドと机を置くと、ほとんど空きスペースがないほど狭い部屋もありました。
正直、「ここで毎日生活して、精神的に大丈夫なのかな?」と不安に。
寮生からは「慣れますよ」と聞きましたが、「慣れることが本当にいいことなのかな」とも思いました。子ども自身も「ここは狭すぎて無理」と。
ただ、部屋は狭くても、みんなで過ごせる共有スペースがある寮もありました。自分の部屋以外にくつろげる場所があるかも、見ておきたいポイントです。
設備も、大浴場があるところ、シャワーだけのところ、エアコンの使用に制限があるところ、酸素カプセルがあるところなどさまざま。毎日ハードな練習をする中で、シャワーだけで浴槽に浸かれない生活はどうなんだろう? 疲労回復の面でも影響はないのかな? と親として気になりました。
何食付いているのか、休日はどうするのか…寮生活の食事は?

そして、特に気になったのが「食事」です。
3食すべて用意されるところもあれば、朝・夕の2食で昼食は各自、希望すれば手作りのお弁当を用意してくれるところもありました。あるコーチからは「昼食が自由だと、栄養バランスを考えず簡単なもので済ませる子もいる」と聞きました。
寮生からも「土日のお昼は自由。ご飯は炊けるけれど調理は禁止なので、コンビニやスーパーのお惣菜を買う」という話が。平日も、昼食代を節約して売店のおにぎりだけで済ませる子もいるそうです。
一方で、食事量が多く、本人が「無理して食べた」と話したところも。身体をつくるために食べることは大切ですが、食べられる量には個人差があります。
まだ身体をつくっている高校生。それも毎日のようにサッカーをする子どもたち。
「食事付き」だけではなく、何食付いているのか、休日はどうするのか、実際にどんな食生活になるのかまで確認したほうがいいと感じました。
体験を通して、「生活が合っているか」を確かめることも大切
今回、宿泊体験をさせてもらった寮もありました。
そこは新しくできたばかりで、普通の一軒家でコーチと寮生が一緒に生活するスタイル。現在はまだ寮生が少なく、比較的ゆったりとした環境でしたが、今後は人数も増える予定だそうです。食事はコーチが3食手作りで、体験の日は1人で使える部屋を用意していただき、本人も「ゆっくりできた」と。
外出も比較的自由で、私たちが行った日は練習後に寮生たちが映画へ。家族が会いに来たときは、門限も柔軟に対応しているとのことでした。
この寮に限らず、帰省は夏休みや年末年始など、まとまった休みが中心というところが多い印象でした。
一方、大人数の寮では、普段の外出が難しそうなところや、夜間のスマホ利用ができない、SNS禁止などのルールがあるところもありました。
厳しいから悪い、自由だから良い、ではありません。
その生活が本人に合っているか。
入寮してから「こんなはずじゃなかった」とならないよう、本人と一緒に確認することが大切だと思います。
設備だけではなく「困ったときのサポート」も確認
また、同じ学校でも寮が複数あり、1年生は学校から離れた寮、カテゴリーが上がると学校に近い寮というところも。
「寮は学校から近いですか?」ではなく、「入学したら、うちの子はどの寮に入るのか」まで確認したほうがいいと思います。
生活面のサポートもさまざまでした。自転車通学の寮では自転車修理店と提携していたり、テスト前には寮で勉強を見てもらえたり。洗濯や掃除も、各自で行うところもあれば当番制のところもあります。
そして私が一番心配になったのが、体調不良やケガをしたときの対応です。
連携している病院があり、コーチが送迎してくれるところもあれば、基本的には自分で受診するところもありました。
でも親としては、
「自分で病院へ行けるくらいなら、まだいい。本当に病院へ行かなければならないほど具合が悪いときこそ、誰かのサポートが必要なんじゃない?」
と思ってしまいます。
県外にいる親は、何かあってもすぐには駆けつけられません。だから「寮監がいるか」だけではなく、夜はどこにいるのか、夜中に体調が悪くなったら誰に連絡するのか、病院には誰が連れて行ってくれるのか。
「何かあったとき、誰がこの子を助けてくれるのか」
これは私にとって、設備以上に大切な確認ポイントになりました。
「いい寮」ではなく「わが子に合う寮」を
もちろん、寮生活には大変なことだけでなく、そこでしか得られない経験もあると思います。
実際に寮生から「みんな仲がいいですよ」と聞けたところもありました。親元を離れ、同じ目標を持つ仲間と暮らし、自分で洗濯や掃除をして時間を管理する。サッカーだけではなく、生活面でも成長する3年間になるはずです。
だからこそ、高校を選ぶときにはサッカー部だけではなく、子どもが毎日を過ごす「寮」まで見てほしいと思います。
サッカーをするのは一日のうち数時間。でも寮は、食べて、寝て、勉強して、疲れた身体を休める毎日の生活の場所です。
大切なのは、「いい寮」を探すことではなく、「わが子に合う寮」を探すこと。
できるなら親子で実際に足を運び、部屋や食事を見るだけでなく、そこで暮らす寮生の話も聞いてみる。宿泊体験ができるなら、本人が一度泊まってみるのもおすすめです。
そして最後は親子で、
「ここで3年間、生活できそう?」
と考えてみる。
私自身、いくつもの寮を見て、聞いて、体験したことで、「寮完備」というたった3文字の向こうに、想像していた以上に違う生活があることを知りました。
これから高校を選ぶ子どもたちが、サッカーだけでなく3年間の生活も含めて「ここに行きたい」と思える場所に出会えるように。私たち親子の経験が、その選択を考えるひとつの参考になれば嬉しいです。