高校サッカー進路ナビ「成立学園高等学校(東京)」
TEAM DATA(2026年度時点)
| 所在地 | 東京都北区東十条6-9-13 |
| 監督 | 太田昌宏 |
| 練習場 | 「成立学園鷺宮グラウンド」(部専用人工芝グラウンド) |
| 所属リーグ | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 東京(T2リーグ) |
| 部員数 | 93名 (1年:39名/2年:25名/3年:29名) |
| チーム構成 | 4チーム |
| 寮 | あり(定員27名) 門限:21:00(条件付きで外泊可) |
| 入学ルート | スポーツ推薦/セレクション |
| セレクション 実施時期 | 練習参加:4月~8月/セレクション:8月頃 |
| 全国大会実績 | インターハイ出場:5回(最高成績:ベスト4) 選手権出場:3回(最高成績:3回戦敗退) |
| 主なOB | 大津祐樹(引退) 舞行龍 ジェームズ(アルビレックス新潟) 窪田稜(横浜FC) |
| 保護者の関わり | 保護者会:あり(活動頻度:年2回)/遠征・応援:任意 |
| 進学・就職実績 (昨年度) | 卒業生:28名 大学:26名(指定校推薦・スポーツ推薦あり) 専門学校・短大:2名 |
COACH INTERVIEW │ 太田昌宏監督
どんな選手を育てたいのか。どんな選手に来てほしいのか。そして、保護者にはどのように子どもを支えてほしいのか。太田昌宏監督に、成立学園が大切にする育成や指導について聞いた。
どんな選手を育てる? 成立学園高校サッカー部の育成と指導
「勝つ」ために、まず「サッカーを楽しむ」
――成立学園では、選手たちにどのような人間・選手に育ってほしいと考えていますか?
「基本的には、サッカーを楽しませてあげたいというのが一番にあります。もちろん“勝つ”ということも大事です。ただ、それ以上に、フットボールというものをしっかり楽しみながら、その中身を追求していくことを大切にしています。
そのためには、まず楽しさだったり、成功体験だったりというものが必要です。そのうえで、どうすれば勝つために自分の武器を生かしていけるのかを考える。そこが成立学園の一番大事にしているところです。だからこそ、選手たちには『自分たちで考える』『自分たちで行動する』『自分で判断する』ということを常に求めています。
『今、自分たちがしている判断は本当に正しいのか』『もっといい方法はないのか』と指導者が問い続ける。その考え方は、サッカーの中だけではなく、サッカー以外の部分でも同じです」
――勝利を目指すことと、選手の成長。その2つはどのように考えていますか?
「目標があるからこそ成長できるという部分はあると思います。だから、勝つことを否定するわけではありません。ただ、“勝つために何をするのか”というところを大切にしています。
たとえば試合でシュートが入らなかったときに、『今日は良くなかった』で終わって下を向いて帰るのか。それとも、『どういう場面で入らなかったのか』『技術的な問題なのか、メンタルなのか』と自分で分析して、『じゃあ次はこういうトレーニングをしてみよう』と考えるのか。
同じ結果でも、その後の行動は全然違いますよね。だから、結果だけを求めるのではなく、その結果から何を学び、次にどう生かすのか。そこまで含めて成長だと考えています」

「教えてもらう」のではなく、自分で学ぶ
――成立学園に入ってから、伸びていく選手にはどんな共通点がありますか?
「やっぱり、たくさん自主練をする選手だったり、自分でどんどん判断していける選手ですね。僕ら指導者がすべてを与えて、全部教えてあげるということはありません。もちろん『こういうふうにやったほうがいいよ』というヒントを伝えることはあります。でも、その一言を一言のまま終わらせるのではなくて、自分なりに考えて、二つ、三つ、それ以上に広げていってほしい。
10言わないとできない、10言っても2、3しかできないというのでは、なかなか伸びていきません。逆に、1、2伝えたことを自分で考えて、4、5に広げられる選手は、必ず伸びていくと思います。
“教えてもらうために来る”のではなく、“自分で学ぶために来る”。そういう姿勢が大事ですね」
――そうした「自分で学ぶ力」を育てるために、指導者として意識していることはありますか?
「選手と指導者が、互いに学び合える環境を作ることですね。選手からしてみれば、もちろん僕らから学ぶことがある。でも、僕らも選手を見ていて、『こんなことができるようになったんだ』と学ぶことがたくさんあります。
だから、選手が自分で考えて、トライして、それを僕らが見ながらまたヒントを出す。そういう繰り返しが大事だと思っています。そのためにスタッフもいます。選手と個別に話すこともあれば、チーム全体に話すこともある。その場面によって変えています。
また、スタッフ同士の情報共有も大切にしています。僕はトップチームを見ていますが、セカンド以下の選手たちがどういう状態なのかも、スタッフ間で常に話をする。『この選手を一度トップに上げてみよう』『この選手は今はセカンドで頑張らせよう』といったことを、みんなで考える。
一人の指導者だけで選手を見るのではなく、スタッフ全体で選手を見ながら成長をサポートしていく。そういう環境を大事にしています」
成立学園が大切にする「つながる」フットボール
――成立学園のサッカーには、どのような特徴がありますか?
「うちは、いわゆるスーパースターが何人もいるようなチームではありません。だからこそ、みんなで補い合うことが大切になります。
まずは『サッカーが大好き』というところから始まって、みんなでつながって、いろんなことをやっていく。サッカーでいえば、ボールをみんなでつないで動かす。そうするとスペースが生まれる。そのスペースをみんなで使って、動かして、ゴールを目指す。
守備の選手からの配球もそうですし、攻撃の選手の守備もそう。全員がつながっていないと、強烈な個を持った選手がいるチームに対抗するのは難しいのです。だから、言葉にすると“つながる”ということが一番大事にしているところです。
一人でぽつんと自分勝手なことをするのではなく、みんなが手を差し伸べながら、一緒にプレーする。それがフットボールの中身にも出てくると思っています」
――その「つながる」という考え方は、選手の成長にも通じているのでしょうか?
「そうですね。中学時代には、ボールを扱うのが得意で、攻撃だけをしていたような選手が、成立学園に来て変わっていくこともあります。いろいろな相手と試合をしていく中で、『攻撃だけでは日本のサッカーでは通用しないよ』ということを伝える。そして、『本当にそれでいいの?』と選手自身に考えさせる。そうすると、チームプレーの意識がついてきて、仲間たちとつながっていきました。
あるいは、もともとはそれほど上手くなかった選手が、3年間でできることを増やしていく。その姿を後輩たちが見て、『自分もこうなりたい』と思う。そうやって、選手から選手へと学びがつながっていくことも、成立学園では大切にしています」
3年間で育てたいのは、社会に出てから通用する人間性
――サッカー以外の部分で、高校3年間を通して身につけてほしいことは何でしょうか?
「サッカーを通して学ぶことは、本当に多いと思っています。サッカーは集団スポーツなので、チームとしての目標があります。それをみんなでつながって達成していく。もちろん、その中には試合に出られる選手もいれば、そうではない選手もいます。でも、試合に出られないから、トップチームに上がれないからやらない、ということではだめですよね。
最後までチームみんなで目標を求め続けることが大事です。トップチームの選手は、ピッチの中で感動を与えるくらい走って戦わなければいけない。一方で、ピッチの外でも準備や後片付けを率先してやる。そうすれば、トップチーム以外の子たちや応援する側も『自分たちももっとやらなきゃいけない』と思えるはずです。
トップチームになれなかったとしても、試合に出られなかったとしても、最後までやりきることで、必ず自分の身になっていくと思っています。このようにチームとして意識を高く持つことが、さらなるチームの一体感につながっていくと感じています」
――試合に出られない選手にとっても、その3年間には意味があるということですね。
「もちろんです。サッカーは一部分というか、人生の一つの時期ですよね。でも、社会に出たときに、その3年間で何を学んだのかという、人間的な部分がすごく大事になる。
だから僕は、何か社会で起きたことがあれば、『じゃあ、サッカーのピッチの中で同じことが起きたらどうなる?』という話に置き換えて話すことが多いんです。『サッカーをやっている意味は何なのか』ということを考えたとき、技術や戦術だけではなく、サッカーを通して人間として成長することも大きな意味だと思っています。
そして、そこには“つながり”や“感謝”もあります。今、成立学園がチームとして成り立っているのも、これまでのOBたちが頑張ってきてくれたからこそです。だから、そのつながりを今度は現役の彼らが下の世代につなげていかなければいけない。保護者の方への感謝も含めて、そういう気持ちは常に選手たちに伝えています」

どんな選手に来てほしい? 成立学園高校サッカー部が求める選手像
「サッカーが好き」「上手くなりたい」がスタート
――これから成立学園を進路の選択肢として考える小学生や中学生に、入学前に身につけておいてほしいことはありますか?
「まずは、サッカーが好きであること。そして、『上手くなりたい』という向上心を常に持っていてほしいですね。技術的なところでいえば、止める、蹴る、見る、運ぶといったベーシックな部分は、中学生、小学生のうちからしっかりやっておいたほうがいいと思います。
もちろん、それに加えて自分のストロングポイントが一つでもあればいいですね。1対1で負けない、シュートが上手い、ヘディングが強いなど、何か一つ、二つ武器があればなおいいと思います。 ただ、まずは基本的な技術がしっかりできること。そのうえで、フィジカルやスピードだけに頼るのではなく、強度の高い環境の中でも技術を出せるようにしてほしいですね」
成立学園を選ぶなら、「自分の目」で確かめてほしい
――成立学園に興味を持っている選手には、どんなことを伝えたいですか?
「うちは、成立学園でサッカーをやりたいという強い意思を持った子に来てほしいと思っています。だから、希望する選手には必ず練習参加をしてもらって、自分で選んでもらうようにしています。
東京にはいろいろな高校があります。それぞれに個性があって、指導方針も違います。だから、たくさん試合を見て、いろんなところを自分の目で見てほしい。そのうえで、『やっぱり成立学園がいい』と言ってもらえるのが一番うれしいですね。サッカーだけではなく、先輩たちの雰囲気も含めて、全部見てもらったうえで選んでほしい。
『全国大会に出たい』『プロになりたい』という高い目標を持っていることももちろん大切です。でも、その前に『上手くなりたい』『成立学園でやりたい』という気持ちを持っていること。そこが一番大切だと思います」
サッカーに励む子どもを支えるサカママへ
保護者には「見守る」というサポートをしてほしい
――最後に、成立学園での高校生活を考える保護者の皆さんへ、メッセージをお願いします。
「僕自身も子どもを育てた経験があるなかで、やっぱり子どもが自分のやりたいことをどんどんやれるようにしてあげたいと思ってきました。もちろん、親として方向性をアドバイスすることはあると思います。でも、まずは子ども自身がどうしたいのか。その判断を尊重してあげてほしいですね。
親が『こうしなさい』と決めるのではなくて、子どもの『自分はこうしたい』という気持ちを大切にして、思いきりやらせてあげてほしい。
成立学園に来た選手の保護者の方にも、よく『サポートしてください』と伝えています。ただ、そのサポートというのは、プレーについて細かく言うことではありません。
たくさん試合を見に来てあげてください。
そして、毎日大変だと思いますが、おいしいお弁当を作ってあげてください。
僕らがお願いしたいのは、それくらいです。プレーがどうだったとか、もっとこうしたほうがいいとか、そういうことを言うのではなく、温かく見守ってもらう。それが一番、子どもたちの力になると思います。
あとは僕らに任せてください、という気持ちですね。子どもがやりたいことを思いきりやれるように、温かく応援してあげてほしいと思います」

写真協力/成立学園高等学校サッカー部